2018年6月11日(月)

東京の制作会社から、デザイナーやエンジニアなど非コピーライターの職種間で「コピーライティング部」を始動させたいとの話があり、そのメンバーたちとランチ。Dさんは相変わらずで癒された。たしかに自分と似通うところがある。それ以外の方々は初対面だったのだが、どうせ冗談かと思っていたら、けっこう本気でコピーをやりたいようで、コピー部でやりたいテーマについていろいろなアイデアが出てきて面白かった。コピーライティングに関する簡単なセミナーをやることになりそうなので、とりあえず自分なりのルールをまとめてテキスト化しようと思う。自分にとっても頭のなかが整理できる良い機会になりそう。

夕方からは半蔵門へ。久しぶりに代表のFさんと再会し、懐かしいオフィスの片隅でしばし喋る。「こんなことやろうかと思っているんですよね」とすこし話すだけで、「ってことは、こういうことか。面白そうだね」と一瞬で見抜いてしまうビジネス感覚は相変わらずだった。Uさんとも話し、広報的なコンテンツ面でお手伝いすることになるかもしれない。その後、Fさんと、Kさんも加えて新宿の歌舞伎町で甘辛い鍋。「社員にキャリアパスを示すべきか」という議題になり、「示すべき」というKさんに対して、「そんなの示されたら絶望するし、反抗したくなりますけどね」と逆張りをして楽しむなど。役員であるKさんの立場としてはそう答えるしかないだろうけれど、社員のために尽くしすぎる性格を抑えて、Kさん自身が本当はやりたいのに時間を割けていない「デザイン」の部分で一緒に仕事をしたいと伝えて解散。

ちょうどDから「渋谷の松見坂のBARで呑んでいる」との連絡が入り、タクシーで向かうと、直接話したことはないけれど、大学のキャンパスでよく見かけたことのある同級生の顔が。今はロボットの開発会社を経営しているとのこと。なんかタイプが似ているからとのことで、Dが引きあわせてくれたらしい。たしかに初めてとは思えないほど話しやすい雰囲気だった。Dとふたりでその方の弟子(?)を口撃したのち「3番目の友だち」で泣くなどして夜更けに散会。就寝。

2018年6月10日(日)

東京出張の疲れが出て、昼下がりまで寝る。このままだとさらに動けなくなると思い、無理やり身体を起こして道玄坂の回転寿司屋で15皿ほど無理やり呑みこみ、再び部屋に戻って寝る。

夜になるとすこし回復したので、Dと『ドキュメンタル シーズン5』を鑑賞することに。その後、「ハーモニカ猿」のシーンは、なぜあんなに面白かったのかについて話す。笑いのハードルが徐々に上がっていくなかで、「これはさすがにスベるんじゃないか」と周囲が不安に感じるハードルを全力で超えていったときに生まれる笑い。これは、なにか普遍的な参考になりそう。

2018年6月9日(土)

朝起きると、部屋の主であるDもたまたま起きていたので、東京に来てから考えさせられている「コピーライターをやるのではなく、コピーライターとしてなにをやるのか」について、自分が「やりたい」と感じている二つのアイデアを聞いてもらうことに。しばらく二人で意見をかわすうちに、一つの方向性がクリアになってきた。やっぱり、Dはすごい。

すると、Dがその方向性を試してみる舞台としてぴったりの仕事をしている知り合いに電話をかけ、最初の実験をやらせてもらえることに。さっそく、渋谷のコワーキングスペース『PoRTAL』へ場所を移して実際にやってみると、やはり面白い。念のため、1枚の企画書にまとめて全体を俯瞰してみる。うん。イイと思う。やることにした。

夜は新橋へ。大手広告代理店に移籍した若手コピーライターと、新進気鋭の制作会社へ移籍した若手コピーライターと呑む。そのなかで「自分は『面白くもなんともないものが世間から評価されていることに対する怒り』がコピーを書く原動力だけど、ひゃくいちさんは怒らないのか」と聞かれる。それで「どちらかというと、自分は『世間から面白くもなんともないものと評価されていることに対するやさしさ』がコピーを書く原動力だ」と答える。

「やさしさ」という言葉がとっさに出てきたのは意外だった。血気盛んな若きコピーライターたちにとっては物足りない答えだったと思うけれど。まあ、たぶん、本音なのだから仕方ない。

2018年6月8日(金)

朝から『ルノアール 渋谷宮下公園店』へ。すると、株式会社一へメッセージをくれて、昼にはじめて会うことになっていたプロデュース会社を経営するKさんから「場所はフリーマンカフェにしましょう」とのメッセージが届く。なんと、隣の店じゃないか。この広い渋谷でなんて奇遇なのだろう。

Kさんは見た目からしてパワフルな方だった。聞けば、わたしと生まれた年も月も同じなのだが、エネルギーがまったく違っていた。自分のやりたいことがいくつも同時に走っていて話題が尽きなかった。そのなかで「地球少年として昆虫食の魅力を発信している」という篠原祐太さんの話になった。「地球が大好きすぎる」という自分の根底にある本質を「昆虫食」という媒体を通して世の中へ発信しているスタイルは、なにか参考になりそうな気がした。

夕方から、神楽坂の『かもめブックス』に併設されたカフェ『ウィークエンダーズコーヒー オール ライト』へ。その後、『Rockaku』さんのオフィスへはじめて出向き、社員さんたちも含めて『神楽坂 椿々(チンチン)』で呑むことに。「初対面がチンチンってすごいな」と思ったが、人間は第一印象が大切らしいので言わないでおいた。

途中から、コピーライターではなく、あえて「バーバルデザイナー」と名乗るSさんも合流。帰り道に二人で話しながら、「コピーライターをやるのではなく、コピーライターとしてなにをやるのかが大切になるな」と感じた。

2018年6月7日(木)

東京出張2日目。昨夜に話した「自分の肩書きを自由に考えるとしたら」というお題を朝から考える。こんなときは言葉やコピーにまったく興味のない妻と話すのが吉で、1時間ほど西日暮里のホームで電話をすると、案の定、方向性のようなものがうっすらと見えてきた。

お昼は、宣伝会議賞で出会ったフリーのデザイナーのSさんと、最近、『孤独のグルメ』にも登場したらしい三河島の麻婆豆腐専門店『眞実一路』へ。ハイボールに山椒が振られていて、これが絶妙だった。

北千住に住んでおきながら知らなかったのだが、三河島は歴史あるコリアンタウンのようで、食後は異国情緒漂う街をしばらく案内していただき、『カフェテラス ウイーン』へ。レトロな麻雀のテーブルゲーム機を使用したテーブルを挟んで仕事の話をするというのも妙な感じで面白い。Sさんは、周りの好きな人たちとの縁を大切に紡ぎながら生きている方だった。好きな人たちとだからこそ好きな仕事を楽しくできるというのはシンプルでとてもいい。

夜は、以前の職場でお世話になった上司のKさんと『神保町食肉センター』へ。以前から名前は知っていたが初めての来店。Kさんは相変わらず信じられないくらいに律儀なかたで、わたしのほうが13歳ほど年下にも関わらず、ロースターの前を譲ることなく、最初から最後まで肉を焼いてくれた。肉の焼きかたもじっくりで、じっくりすぎて焦げてしまっているものもあり、「Kさんらしいなあ」と笑ってしまった。

そんなじっくりすぎるKさんと、今後の人生の「動き」について語るのは面白い。結果、「年齢」で人生を考えないほうがいいとの話になった。年齢というものは絶対的なものだからこそ信用すべきではないと思う。たとえば、「35歳までに◯◯するぞ」と宣言すれば明確な目標を立てた気分になるが、「なぜ35歳なのか」という根拠を聞くと意外に脆い。

仮に「だいたい35歳くらいまでに◯◯するのが普通でしょ」といった気持ちが裏にあるとすれば、それはあくまで他者一般との比較に過ぎない。他者との比較は、焦りや嫉妬や絶望といったイヤな感情を生むだけだ。わたしも実際、「30歳までに作家になるぞ」と根拠なき目標を掲げていたせいで死にかけたことがある。

誰になんと言われようが自分の人生なんだし、絶対的な年齢ではなく、「今の自分からすると、3年後までには◯◯したいな」などと、相対的な自分のペースで考えていけば心は軽やかになるし、何歳になろうが自分の気持ちに正直に生きることができるのではないか。

そんなふうに「年齢なんて関係ないですからね」と熱く語るうちに、Kさんに肉を焼かせてしまったこともいつのまにか正当化されていたのでホッとした。