2018年7月11日(水)

午前中は、大阪と東京に拠点を構える制作会社を訪問。代表の方へ「今度、東京に行くのでオフィスへお伺いしてもよろしいですか」と事前にメッセージを送ったら、「思い出していただいてありがとうございます」と返信が来て、その謙虚さにひれ伏した。

おそらく、ひとまわり以上は年の離れたわたしに対して「地味なお話で申し訳ありません」などと言いながら、手がけてきた案件を丁寧に説明してくれる。一つひとつの案件を大小問わず大切に、クライアントとじっくり向きあって制作されているスタンスが滲みでていて、地味どころか羨ましかった。

とくに、代表の方の「ちいさい会社だからこそ向きあえる相手がいる。身の丈にあったことをやっていきたい」との言葉が印象的だった。自分を大きく見せようとすることなく、自分の大きさをそのまんま受けいれる謙虚さは強い武器になる。あと、案件をどうしても断らなければいけないときや、どうしても見積もり額が合わないときの対応の仕方なども教えていただいて、「なるほどなあ」と勉強になった。さっそく、実践している。

その後、虎ノ門ヒルズの大手広告代理店へ。軽い気持ちで訪れてみたら、大きな会議室に先方の担当者がぞろぞろと8名ほど入ってきて驚愕。即興で自己紹介を兼ねたプレゼンをすることになってこの世の終末を予言しかけたが、クセの強いポートフォリオのおかげでなんとか良い感じで乗りきることができた。へとへと。

夜は、とあるクライアントの代表の方などと呑むために駒場へ。たまたま立ちよった古本屋のラックに『来たるべき作家たち 海外作家の仕事場』という本を見つけて、その内容の良さに疲れが吹きとぶ。古本ってすごいなあ。あえて古本だけを情報源にしてみたら、おもしろそう。

そんなことを考えながら、松見坂の『そば処 福島屋』へ。蕎麦屋なのに肴も豊富で酒も旨くて愉しんでいたら、なんと先週にバーで偶然お会いしたばかりのスーパークリエイターの方が。「よくお会いしますね」と改めてご挨拶をして振りむくと、なんと別のテーブルにはとある女優の方が。すこしだけお話をさせていただく。松見坂。いいな。家賃が高すぎて住めない点だけを除けば。

そのまま、クライアントの系列会社の飲み会へ合流。今回のわたしの提案書を系列会社の方々にも「やっぱりコピーライターが入るとちがうよ」などとありがたいコメントつきでわざわざ共有してくれていたみたいで、いろいろとお話することができた。

散会後は、マンション前の自販機で鼻歌まじりのDとばったり遭遇。そのまま夜更けまで「なんだかよくわからないけれど持てあましている記憶たち」というテーマで話し、いつのまにか眠る。

2018年7月10日(火)

小説を書くことにした。昨日、「小説にタイトルなんていらないんじゃないのかね」などと言っていたくせに、先にタイトルがポンッと決まってしまった。

きっかけは昨日の夜更けに、Dと「コピーライターって肩書きだと、コンセプトをつくってからコピーや企画を書いているってのが伝わらないよね」と話していたとき。結果、コピーライターではなく、「ことばでコンセプトをつくってからコピーや企画などを考える人」と名乗ればいいやと考えるに至ったのだけれど、そんな説明がまどろっこしい仕事を死ぬまでずっとやっていたくないなとも思ってしまった。そのタイミングで、Dから「100人しか乗れない宇宙船で生きていくことになったときにもコピーライターをやりたいか」と聞かれ、「小説を描くね」と答えた。やることがなくてどうしようもなくヒマなときに読んでもらえるような小説を描きたい。そう考えたら、タイトルが不意に浮かんだ。

寝不足のまま、午前中は新宿へ。駅直結のタワービル内のオフィスで大学時代の旧友と再会。彼が手がけているサービスについて話しこんだのち、『J.S. BURGERS CAFE』へ。お互いの近況を報告するなかで、彼がすでに結婚していることを初めて知ったのだが、淡々と会話を進める。そこで驚いてしまえば、いつも同じ学生マンションで朝から晩まで遊び、沖縄の離島を二人で旅したこともある日々が、いかに遠のいてしまったのかをお互いに思い知らされてしまうだろうから。また今度、学生マンションに住んでいた他の奴らも交えて呑もうと、破線のついた約束をして別れる。

昼は、前回の東京出張で訪れた制作会社の代表の方にわざわざ繋げていただいた六本木の制作会社へ。「おもしろけりゃいい」ではなく、ヒアリングを通して課題を見極め、コンセプトを緻密につくりあげる過程をとても大切にされているスタンスにとても共感を覚えた。さっそく、なにか仕事をご一緒できそうな気がするので楽しみ。

夜は、田町の『ジョニーの原価酒場』のテラス席にて、クライアントの代表と役員の方と、プロジェクトの打ち上げバーベキュー。ひさしぶりにビールばかりをしこたま呑む。ほぼ同世代だし、なんだか考えかたの雰囲気も近しい部分があるし、他人のような気がしない人たち。これからも人生のいたるところでまた手を組み、なにかを一緒につくれたらいいなと思う。

2018年7月9日(月)

朝は、以前にお話をいただいていたコピーライティング教室の構成を考える。その後、Dが手がけているサービスの定例MTGを代官山のシェアオフィスでやるというのでお邪魔することに。途中、デニーズで昼飯を済ませながら、「暑い」とだけ言ってしまえば簡単だが、それでは自分が感じているのと同じ暑さを相手に伝えることができないのではないかという仮説が持ちあがり、「この暑さをいかに表現するか」について大喜利がはじまる。結果、「ブスも歩く暑さ」というフレーズが出現した。

なんだか小説と似ているかもねと話は続く。自分の今の心情の正体がなんなのかと問いつづけ、その正体の周りをぐるぐると描きつづけた先に、その中心に空白が生まれ、ぼんやりと認識できるようになっていく。ちょうど、ドーナツの穴のように。ただ、それはあくまで空白なので、ひとことで明確に示せるようなものではない。だから、小説を描きおえたあとにタイトルをつけるのが苦手なのだ。ひとことでは言えないものだからこそ、その周りをぐるぐると描きつづけてきたのに、最後の最後に「タイトルをつけろ」と言うのは酷である。そもそも、小説にタイトルなんていらないんじゃないのかね。そんなことを語っていたら代官山に到着。

進行中の案件の仕事をこなしつつ、Dが開催しようとしているらしい大喜利大会のルールに沿って、Dと再び大喜利対決。5本勝負で4勝1敗で勝ち。Dが本気で悔しがっているのを見て、大喜利の奥深さを思い知る。

その後、秘密すぎる大学「高野山大学」の公式インスタアカウント「曼荼羅具楽夢(マンダラグラム)」が公開されたのでシェア。先日のオープンキャンパスならぬ「SECRET CAMPUS(シークレットキャンパス)」と同じく、企画からコンセプトワーク、コピーライティングを担当した。「曼荼羅映え」「仏ジェニック」「功徳(シェア)する」という新しいことばを現世に発信できたことはコピーライターとして嬉しい。

夜は歩いて渋谷へ。同世代のコピーライターで最先端を走るHさんのオフィスへ立ちより、同じく最先端を走るKさんもまじえて三人で中華のコース。最先端を走る二人だけに圧倒的なスピードでくりひろげられることばの応酬を見ながら、自分は最先端ではない方向へ一歩ずつ後ずさりでもするかのように進むしかないなと感じる。

2018年7月7日(土)

渋谷から埼京線で赤羽へ。NY帰りのNYと昼下がりから呑むことに。途中、咳が止まらなくなり板橋駅で下車し、人目を避けて歩いて向かったところ、十条も赤羽の街も気にいってしまった。東京での新居はこのあたりでもいいかもしれない。埼京線で渋谷駅まで一本だし、新宿駅と渋谷駅が隣りあわせになっているし。

まずは、小学校の正門前にある『やきとん大王』へ。学校を眺めながら酒を呑むのはとても不思議な体験。その後、立ち呑みのおでん屋『丸健水産』へ。ワンカップのだし割りが絶品だった。締めは、コンビニで買った缶チューハイを呑みながらの散歩。まちなかを歩きながら書いたり撮ったりするようなライブ感や即興感の重要性についてNYと大いに語る。

夜は、そのまま歌舞伎町へ。ひさしぶりにロックバー『MOTHER』と『PSY』を巡る、Kさんを探すコースで『Kula Shaker』をいくつか流す。いつも通り、Kさんは現れず、隣に座っていた若い男とお互いとも記憶に残らないような話をしたのち、天下一品でこってりをやけ食いして帰宅。

2018年7月6日(金)

とあるロボット開発会社へ新製品のネーミングとキャッチコピーの提案へ。製品そのものではなく、プロジェクト全体のコンセプトから考えなおしたことが功を奏し、ネーミングもコピーも無事に決定。あとはボディコピーを詰めていく段階へ一発で進めたのは大きい。やはり、コピーよりなによりコンセプトが大切。となると、コピーライターではなくコンセプターと名乗ったほうがいいのかもしれないけれど、それはそれでイメージしづらいんだよね。うーん。

今回も「頼んでよかった」と喜んでもらえたけれど、それは「頼んでもらえてよかった」とこっちのセリフなのかもしれない。というのも、自分と相手の感性が合致する瞬間は、自分にとってもなんともいえない瞬間だから。洞窟を独りで歩いていたら、向こうから相手も歩いてきて笑いあえるような。

やっぱり、自分の言葉で相手の課題を解決するのは楽しいな。クライアントワークにしろ自分の作品づくりにしろ根底はおなじ。これをコピーではなく物語という媒体でもできるように早くなりたい。

夜は、以前の職場の上司であるKさんと新宿の『からげんき』へ。今回は、仕事の話。企業サイトにおけるマーケティング戦略の方向性を決めるコンセプトワークとコピーライティングを依頼されることに。となれば、企業自体のコンセプトから考えなおすことが必要で、以前の職場という自分もよく知る舞台でそれをあえてゼロからやってみるのは自分にとっても新しい体験になるのではないかと感じ、受けることにした。

話を聞いているうちに「こんな方向性がいいんじゃないかな」というのは直感で見えてきたのだけど(だいたい、最初の直感で見えた方向性が最終的にもいちばん良かったりすることが多いんだけど)、とりあえず、それはあくまで仮説として、社員一人ひとりへのヒアリングから始めてみようと思う。