ある日、生まれたての子鹿のような目をした中堅コピーライターに「宣伝会議賞でグランプリを獲っても意味なんてないよ。そもそも、実際に広告にすらなったことないんだから」みたいなことを言われた。

にこやかに「そういうことは獲ってから言いましょうよ」と返したところ、それ以降、彼とは音信不通になってしまった。コンドルにでも連れさられてしまったのだろうか。

ただ、彼が遺してくれた言葉の通り、グランプリを獲ったことでなにかが変わるなんてこともなかったし、関係者に聞いてみたところ、今までにグランプリ作品が広告化されたことも本当にないらしかった。

そしたら、なんだか無性に腹が立ってきたので、ゆうちょ銀行にダメもとで自主提案することにした。結果、約7か月もかかってしまったが、第52回宣伝会議賞グランプリ「人生の半分は無職です。」ほか全6点の意地の塊たちは広告化され、ポスターやポストカードになって都内のゆうちょ銀行に掲載された。

ゆうちょ銀行にて尽力してくれた担当者の方々や、制作に協力してくれた方々への感謝はもちろんなのだが、実は今だから言えることで、数百万円にも達したらしい諸費用をすべて肩代わりしてくれた企業がある。いつか、仕事で恩返しをしたい。

企画 / コピーライティング
2016年1月